在宅ワークと学習: 運動不足によるメンタル不調にご注意!
在宅ワークと学習: 運動不足によるメンタル不調にご注意!
新型コロナウイルス感染対策による外出自粛が3月に発せられ、すでに数週間となりました。国によってはもう1ヶ月以上の外出禁止を経験し、日本においては3週目になるのでしょうか。
さて、普段は活動的な私たちが、突然に「動くな」と言われ、粛々と自宅にこもっていますが、初起動時の妙な張り切りは次第に消え、今は誰もが自宅にいるという鬱々とした気持ちが徐々に高まっているのを感じているのではないでしょうか。 欧州は感染拡大が少しだけ早かったため、不安感や絶望感をすでに長期的に感じてきています。最近では著名な人のコメントに憂鬱感が感じ取れ、この異常な事態の心への影響は誰にとっても同じなんだと驚いています。
この異常事態での心の状態の流れ
その心の状態の流れをストレス学的にまとめて見ました(copyright @Mie Fuchigami)
最初は「Discomfort(自由を制御される不自由さ)」から始まり、徐々に「anxiety(身体への不安)、次に 「Fear(経済と将来への不安)」、そして今、「emotional strain(精神的疲労)」に達し始めている人を多く見ます。
そもそも、うつ症状は誰が罹ってもおかしくないことですが、その中でも発症に違いがあります。つまり、同じ環境にいてもうつ症状になる人とそうでない人がいるということです。 性格や成育歴など関連する要因として考えられることが多い中、断言的に特定の個人要因が示されているわけではありません。しかしながら、科学的見解から結果論的に比較的こうだ、という範囲で予測したり説明することはできます。その中の考え方の一つに、他の人と比べたときストレスを受けやすい人の違いは一つに「脆弱性」、そして「回復力(レジリエンス)」と関わりがあるのでは、という考え方があります。そして、 その二つにさらに関連する要因の一つに、「運動量とメンタル不調の関連性」が示されています。つまり運動や身体的活動はメンタルヘルスに良好な効果をもたらすということです。
運動不足とメンタル不調の濃密な関係
運動不足になると、姿勢を維持する筋力が弱ってしまい、脳への血流が滞り頭痛の原因となります。また筋肉が衰えるために疲れやすくなります。さらに運動により整えられていた体内時計が不調になり不眠を引き起こすかもしれません。在宅ワークやオンライン学習は、何もしなければこの状態を加速させます。
実際に、日常的に身体活動が高い人や運動の習慣がある人は、ストレスの状況下での抑うつ度が低いというエビデンスがあります。 そもそも運動はメンタル不調を予防する効果があります。運動や身体を動かした活動は気分を前向きにします。また身体を動かすことで内に込めがちなエネルギーを外に出し、スッキリしたりもします。さらに、スポーツや身体的活動は人と関わることでの社会的な欲求を満たす場所ともなります。誰かと楽しい時間を過ごすことで幸福度を得るのです。
このようにスポーツや身体活動はポジティブな気分を生じることに強い関連性が見られています。米国の調査によると、定期的に運動をする習慣のある人は性別、年齢、婚姻状態、収入の差異に関わらず うつ病、パニック発作、不安神経症に罹患するリスクが低いという結果があります。だから欧米の人はジョギングを習慣化する人が多いのかもしれません。
具体的にどれくらい運動量が必要なのか
では具体的にどのくらいの運動がメンタル良好に影響を与えるのでしょうか。家庭の状況によっては、学校の授業もうまく始まらず子供はゲーム三昧、家事ばかりが増えてこんな状態の中で運動なんて不可能だ!と絶望したりしないでください。
確実な数字は出ていませんが、週あたり60分から150分の身体活動であってもメンタルヘルス維持に効果があると考えられています。この新型コロナウイルス騒動以前の子供も含めて私たちの多くの生活には、少なくてもそのくらいの運動量はあったのではないでしょうか。また、英国のうつ病治療ガイドラインを参考にすると、軽症のうつ患者に施す運動療法は16週間以上の継続により薬物療法に並ぶ効果を期待されています。
つまり、この結果から考えられることは、週3回から4回、せめて15分または20分ほどの簡単な運動をするだけでもメンタル維持に大きな効果をもたらすと予測できます。 短時間の散歩、自宅の前で縄跳びやリフティング、素振りなど、そのスペースがない場合は今流行りの「ウェブでダンス」を家族みんなでやりましょう!
違いはコロナ感染騒動を終えた時に
夏まで、秋まで、いえまだ来年以降も終息までにかかるとも言われていますが、これを16週間できる軽度な運動を継続した時に、きっと「あ、私のメンタルの状態悪くない!」と気がつくことでしょう。子供や家族が心身健康に無事に過ごせたことを心から喜ぶことができるのではないでしょうか。自分を守る形で体力と免疫力をあげ、医療崩壊を防ぐ「自分たちができる協力」にもつながります。そしてその16週後には、この新型コロナウイルス感染問題も、完全な終息は難しくても何らかの収束が見えてきていることを心より望んでいます。
グローバルウェルビーイング
淵上 美恵
Mie Fuchigami (淵上美恵)
グローバルウェルビーイング
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